「雨がしとしと降っている」と思い出すのが有島の遺書です。
本当は「雨がひどく降っている」なんですが、「しとしと降っている」で覚えていて実際には違ったので覚えているという・・・
「山荘の夜は一時を過ぎた。
雨がひどく降ってゐる。
私達は長い路を歩いたので濡れそぼちながら
最後のいとなみをしてゐる。
森厳だとか悲壮だとかいへばいへる光景だが、
実際私たちは戯れつゝある二人の小児に等しい。
愛の前に死がかくまで無力なものだとは此瞬間まで思はなかった。」
というヤツです。この一文はソラで言えます。